「猫とともに去りぬ」ロダーリ
猫とともに去りぬ(作:ロダーリ)
(感想)
「猫」を題材にした短編ファンタジー。
普段ファンタジーを読まないので、こういう子供向けのストーリーは
優しい世界が描かれていてホッとするような気持ちになった。
*友人にオススメの本を聞いて読む、ということを最近始めた。自分の好みに任せると相当偏りがあると感じていたため。その第一弾がこの作品。とある有名作品のパクリかと思いきや、イタリアでは有名な作品だそうな。
冒頭の家族の老人に対する態度等はリアルな冷たさを帯びていつつ、
老人に悲壮感を感じさせず最後でしっかりハッピーエンドにするところとか
児童文学として楽しみつつ間接的ながら子供に何かを教える作品として優れているように思う。
あとは、読んでいて頭の中に不思議な風景を想像させるような描写がところどころにあったりしていて、想像を掻き立てる本というものをこの年になって改めて感じた気がする。
あとがきにも書かれていたが、
ロダーリの児童文学への貢献がイタリアの創造的な教育の誕生に
大きな影響を与えたそうで、
ロダーリ自身政治思想が強かったりと児童文学作家としてはイレギュラーな
経歴なように思う。
以下、印象的なロダーリの言葉を引用する。
『<言葉の持つ用法を全ての人に> (中略)
誰もが芸術家だからではない。誰もが奴隷ではないからだ。』
『子どもたちが、笑いながら学べるものを、泣きながら勉強することに
意義があるだろうか?(中略)
間違いというものはパンと同じように、なくてはならず、役にたつものであり、
大方が素晴らしいものである。その代表的な例がピサの斜塔だ。』
*
ちなみに、ロダーリは幼少期に
嵐の中子猫を守った父親がそれがきっかけで肺炎で死ぬ、という
ファンタジーのような経験をしている。
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「ファンタジーの文法」というファンタジーと教育についてロダーリが書いた本。
結局教育が一番だよな、と思って絵本を書こうかと考えていたので、少し関心がある。