「死ぬ瞬間」(キューブラロス)
卒論の指導教官に、「この題材を卒論にするなら読んでなきゃおかしい」と言われ紹介された本。
(というか、「大学生なのに読んでないって何?」のレベルで言われてしまった)
昔から思っていた疑問として、「患者がどう思うか」という視点が特に高齢者患者の時では、少し弱いのではないかと思っていた。
医療・介護サービスの供給側も大変だし、患者側も立場が色々な面で弱い分、ある意味での顧客視点にもっと注目されてもいいのでは、と思っていた。
で、卒論で扱おうとしてすぐにぶつかる壁が「サンプル数確保」の問題。これは未だに悩んでいるが、一方でキューブラロスは終末期患者数百人にインタビューを複数回しているのだから、そこから得られた知見は興味深い。
とにかく読んでいて思うのは、「歳はとっても死は怖い」ということ。
イメージではチューブに繋がれている人も、余命を告げられた人もどこかで死を受け入れるもの、それは高齢者ならば何らかの達観によってできるものだと思っていた。
ところがそんな人は事例として多くはなかったし、自分の存在意義がないことや意思が伝えられないこと、突然の孤独、無力、絶望に苦しむ人が大半だった。
死の苦しみから逃れている人も大半が「死後の世界」を信じるが故で、これは無宗教の人が多いと呼ばれる日本ではどうなのか少し気にもなった。
死の五段階の仮説もなんとなくイメージできるし、だからこそ今後の日本の医療にももっと活かせるように思った。
特に印象に残ったエピソードは、「金持ちの死」の話。
金持ちや成功した人は、自分の人生がコントロールできないことから一般人以上に絶望するとのこと。自分も結構人生はある程度コントロールできるもの、と思ってる節はあったから、この絶望は想像に難くなかった。
結局死について考えることが死の恐怖を和らげうるとの話をしていたが、
そうはいっても・・・、という感覚は拭えないし、多くの高齢者患者と同様に、何か画期的な薬が開発されるのでは?という期待を抱えてしまっていう自分もいる。
もう少し死について考えてみる必要がありそう。