Kokko 真面目すぎる東大生

大学卒業までに会った出来事を綴るブログ。読書記録多めかも

「野生の思考」第一章 レヴィ・ストロース

「野生の思考」の読みやすさに驚いた。構造主義に至る過程やら哲学的思想についての知識は乏しいが、理解できた部分も多かったように思う。一気に2章分読み進めることができた。

以下、メモ。つくづくビジネスにつなげようという意識で読んでいるのだと感じる感想だ。

 

[Memo]

・用語の抽象度の差異は、知的能力に左右されるのではなく、一民族社会の中に含まれる個別社会のそれぞれが、細部の事実に対して示す関心の差により決まる。

 

・未開思考は、秩序化を根底で求めている

 呪術志向は、因果の無視や軽視ではなく、因果の過度の追求によるもの。

 科学とは異なり、包括的に因果関係が成立すると判断する。

(感想)

宗教に触れる機会が幾ばくかあった分?、このくだりについては納得感がある。ありとあらゆることを「神」につなげてくるので、どうなってるんだと思いつつも、信じる側からすれば相当安心感があるのも事実で、それが因果の追求だったのかと気付かされた。

 

・呪術志向は、科学に先んじて因果関係を信頼し、科学が解明する方法に先駆ける

・呪術志向は科学への前段階ではなく、科学とは別の独立した体系。

(感想)

「別の体系」というのが斬新だと思った。科学も宗教の1つと思っていた自分にとって一つ目の内容は平凡だったが、「別の体系」だとは。

この発想には論理的な妥当性もあるのだろうが、作者自身の生い立ちなり思いが裏に見えるように思う(だから「別の体系」と思ったのでは)。個人的には、バイアスあるんだろうなぁと思い警戒しつつも、歴史に残るものもこういうところからスタートしてるんだと思うと、やはり同じ人間の営みなんだと思わされる。

 

・自然を攻略する際に、呪術的認識は知覚や想像力のレベルに狙いをつけ、科学はそれをはずしている。

・器用人は、もちあわせのものを潜在的な集合に分け、無計画に実行する

・技師が無限の概念を用いて作業を行うのに対し、ブリコルールは有限の記号を用いる

 そして技師が未知の情報を引き出すのに対し、ブリコルールは有限の中で未知に対応する

➡科学者が構造を用いて出来事を作るのに対し、ブリコルールは出来事を用いて構造を作る(科学はゲームが規則から無数の試合を作るのと同じ。)

(感想)

「別の体系」とするこの説明は第一章の肝だろうか。学問の発見が「あぁみんな知ってることね」となってしまう、人間の経験や知恵が後に実証されるパターンは勘違いでないのだと思った。

MBAは経験の再構築・体系化を果たすというが、確かに無限の概念を用いた方が応用ははるかに効く。一方で経営者はブリコルールな力が多く求められる(?)ようにも思うので、MBAの価値がどこからどこまでなのかということを感じた。

前にプラトンの「国家」を読んだとき、数学を学ぶ意義についてこの本で言えば無限の概念を用いて作業を行うためであるとしていたが、同程度にブリコルールの思考も用途によって必要であるし、教育としてもブリコルールの要素は欲しいものだと思った。

 

 

余談だが、

芸術的創造や神話のくだりは、複数地域で類似した芸術や神話が存在することへの疑問に解がもたらされたように思う。太陽など同じ環境に対し、同じ人間の頭から感覚的に紡ぎだされるものは地域が異なれど類似するのはもっともなことだなぁと。