「さかしま」ユイスマンス
今回の本は、
かなり読み飛ばした部分があった。
というのも、文化史というかその辺に多少知見がないからなのか
読んでもその意義がいまいち分からず眠くなってしまった。
しかしこの主人公、よく自分のことが分かっているキャラ
だよなぁと思った。
ここまで周りの出来事を分析して(例えば好きな色と性格とか)、
自分の特性を理解できているのは相当内省型だと思った。
「詭弁の論理」(安い酒も高い酒も同じとか)のくだりも、
やたらに考察が深いのは笑えた。
前に人間の技術の進歩は、農業の発展など暇な時間の創出と共に
劇的に飛躍したというくだりを聞いたことがあった。
ただこの主人公に関しては、進歩というか自分の考察を重ねた結果、
洗練された自分の閉鎖的な世界をただ発展させただけなのかなぁとか思った。
(というか、自分はこういうタイプが好きじゃない)
カメの描写については本当にその通りの表現で、
どこかで俺も使いたくなった。
ただ、考察の深さ故の自信から
「世間は分かってない」みたいなことを思うのは
自分にも思い当たる節があり、第三者の視点から見ることで
その考えの誤りというか浅はかさを感じた。