Kokko 真面目すぎる東大生

大学卒業までに会った出来事を綴るブログ。読書記録多めかも

「日の名残り」カズオ・イシグロ

未だに小説があまり好きではない自分が、

なんかいいものはないかと思って探した作品。

小説は長いし~、漫画の方が展開早いし~、ってか娯楽でしょ?とか思っていて

本でフィクションを読むのはあまり好きじゃなかった。

 

その中でこの作品はアマゾン創業者がオススメしていた一冊。性格も自分と似ていそうな人のチョイスだから、さぞ面白いんだろうと思って読み始めた。

 

(感想)

沼津旅行の往復で一気に読んでしまった。とにかく読みやすいし、後半に行くにつれて「あぁオススメする理由はこれかな?」と思う要素を感じることができた。

 

➀スティーブンスのキャラ

執事という職に忠実な堅物さや、主人のジョークに対応しようと彼なりの努力をする様子、そしてケントンの想いに鈍感(?)な彼のキャラがよく染みていた。このタイプの人間の気持ちは非常によくわかる一方、徹底的な忠実さに付随するあれこれの出来事には自分では経験しえないような視点が豊富にあった。きっと自分なら怒るような場面でも気にしない彼の姿勢には、職への誇りが非常に感じられた。それがラスト近くで様々な思いを抱かせられるとは・・・。

②品格

本書を通じてずっと出てきた「品格」という表現。優れた執事や父について言及していた際の「品格」について、自分はかなり魅力を感じていた。そうだよな、そういう生き方最高だよな、と。

ところがラスト付近でダーリントン卿のその後やケントンとのやり取りが書かれる中で、「品格」について前半と異なる印象を抱き始めていた。「品格」って職業におけるもので、人生において大したものではないかも??という思いだ。

 

でも今の時点では「品格」に憧れはあるし、今までの価値観からいっても「品格」を追い求めるような気がしている。それで人生の何かが犠牲になるならどうするか・・・?という問題にぶつかるならば、なんとかして両立できる方法を探して見せよう、というのが今の自分の気持ちだ。

 

③「人生を一周しろ」

 一昨日留学中の友人と電話していて出てきた話題。小さいことを気にせず、見栄を張らず本質的なことに取り組む「芯」がある人間について考察していたら、仮説として出てきた。「人生を一周」することで、くだらないことに時間を割くことの愚かさに気付くのではないか、と。

一応その時は、社会の標準点から外れた経験をどんな形であれしていくこと、が次のActionとして候補に挙がった。

そんな中この本を読んでいて思ったのは、「俺は人生を一回後悔したな」ということだ。

 「品格」であったり過去の主人であったり、結果に着目すると果たして自分の人生はこれで良かったのか?という後悔の念を私であれば多少感じずにはいられなかった。スティーブンスは結果がどうであれその過程に尽力した自分のことを認めるのだろう、と思う。でも、もし自分であればもっと何かできたんじゃないか?そのきっかけは転がっていたのでは?という後悔が強い。その後悔を抱いて、自分の人生をニューゲームとしてやっていきたい。